病院(治療)は「選ぶ時代」に|インフォームドコンセントを知らないと損をする理由

「患者は病院の方針に従うもの」
そう思っていませんか?
結論から言うと、もうその時代は終わっています。
たしかに「医療従事者の言うことは絶対」で、逆らってはいけない。
これが当たり前のように考えられていた時代もありました。
しかし、これからは違います。
患者が病院を選ぶ時代です。
そして、そこで重要になるのが
今回のテーマであるインフォームドコンセントです。
この記事では、
について、現場目線も交えながら解説していきます。
1.インフォームドコンセントとは何か?
インフォームドコンセントとは、簡単に言えば
「説明」と「同意」
です。
医療者は治療内容や方針、リスク、代替案などをしっかり説明し、
患者がそれを理解したうえで「受けるかどうか」を決める。
これが医療の本来の姿なのです。
■ なぜこれが重要なのか
どんなに技術が高い医療者でも、
患者の状態を正しく把握できていなければ良い治療にはなりません。
そしてその把握の出発点が「診察」と「説明」です。
しかし現実には、
- 問診票だけで判断され、十分に状態を確認されない
- 一方的で何を言っているのかよく分からない説明
- 気づいたら治療が決まっている
- 質問しづらい空気

こういった経験をした人は少なくないはず
2.なぜインフォームドコンセントは徹底されないのか
理由はいくつかありますが、現場レベルで最も大きいのはこれです。
圧倒的な「時間不足」
これは医療者の意識の問題というよりも、制度的な制約が大きいのも一つです。
主に保険診療の都合ですが
- 患者1人にかけられる時間が短い
- 丁寧に診ると回らない
- 回さないと経営が成り立たない
これは総合病院でも個人クリニックでも共通の問題です。
つまり、

「やりたくない」のではなく「やりたくても難しい」
というのが現実です。
■ インフォームドコンセントの歴史
また、徹底されない理由に歴史的背景もあるように感じます。
そもそも、
この考え方はいつから重視され始めたのか。。。
インフォームドコンセントという概念が国際的に注目されたのは、主に海外の医療訴訟がきっかけです。
治療の同意を得ずに行われた医療行為が、法的に問題視されるケースが相次ぎ
これを背景に、医療界では「患者の自己決定権」を尊重する動きが広がっていきました。
日本では1990年代以降、医療教育や現場に徐々に浸透していきました。
しかし、それ以前の医療文化の影響もあり十分に根付いていない現場もいまだに多く見受けられます
おそらく
1990年代以前に医療教育を受けた世代では、現在ほどインフォームドコンセントを体系的に学ぶ機会が少なかった可能性があります。
そのため、一部の医療従事者の中に、説明と同意の感覚が十分に根付いていない人がいるのも、ある程度は時代背景として理解できます。
■ それでも必要な理由
ただし、それでもしっかりとした説明をする必要があります。
インフォームドコンセントがない医療は不完全です。
なぜなら、
- 患者が納得していない
- 治療の方向性が共有されていない
- 不信感が残る
→ この状態では治療への納得感や継続性にも悪影響が出ます。
具体例:膝関節に注射を行う場合
例えば膝関節への関節注射を勧める際に、

膝が悪いから注射するよ

怖いからやりたくないです

やらないと治らないよ?
僕のやり方に文句ある?

じゃあ・・やります。
これはまったくインフォームドコンセントが行われていません
しかし、実際に見たことも聞いたこともある話です。
本来は、
- なぜ必要か
- メリットだけじゃなくデメリットも説明する
- やらない場合の代替案
これを説明した上で、患者が選択するべきです。
これがなければ、
治療効果の減少や悪化に限らず、場合によっては訴訟問題になることもあるでしょう。
ですのでインフォームドコンセントは医療従事者と患者、双方にとって大事なのです。
3.患者側に必要なこと
ここが重要です。
インフォームドコンセントは医療者だけの責任ではありません。
患者側も、
- 質問する
- 理解しようとする
- 納得できなければ断る
これが必要です。
特に日本人は相手に遠慮して、はっきり伝えることを避けやすい傾向にあります。
- 断りづらい
- 医療従事者の意見に逆らってはいけないと思っている
- 治療者を不快にさせると今後、通院しづらくなる
(※そもそも断るだけで不快になるような治療者のもとへ行くべきではありません)
などと考えてしまいますよね
ですが、
そんな環境に自分の身体を任せていいのか?と、私は思います。
それでも、
どうしても断れない、質問できない、という人もいるでしょう。
そういう場合は病院を変えてしまっても構いません。
■ ヘルスリテラシーの重要性
だからこそ必要なのが
ヘルスリテラシー(医療を理解する力)
です。
割と近年、目にすることが増えてきた言葉ですが、いまだに世間での浸透は低いように思います。
難しく聞こえるかもしれませんが、
簡単に言えば
- 医療の情報を正しく受け取る
- 自分なりに理解する
- 納得して選択する
この力のことです。
現代はインターネットやSNSの発達により、誰でも簡単に医療情報へアクセスできる時代になりました。
分からないときはまず自分で調べる。
そのうえで専門性の高いところは専門家に聞く。
気軽に聞ける専門家が二人以上いるとよいと思います。
まずは、最低限
- インフォームドコンセントという言葉を知る
- 説明と同意がセットだと理解する
これだけでも大丈夫です。
4.医療者側に求められること
そして、これからの時代に生きる医療者は
世代関係なくインフォームドコンセントを取り入れる必要があります。
「習っていないから」や「時間がないから」は通用しなくなります。
なぜならSNSの普及によって、現場の声や患者側の意見が以前より可視化される時代になっているからです
ですので、これからは
- 分かりやすく説明する努力
- 図や資料の活用による時短戦略
- スタッフ全体での知識共有
医師だけでは時間が足りない場合もあるでしょう
- 看護師
- リハビリスタッフ
- 場合によっては受付なども
関係者全体で
説明の補助ができる体制が理想です。
■ SNS時代の影響
現代はSNSの普及がより加速し、情報はすぐに共有され、隠しごとは難しい時代になっていきます。
だからこそ、
患者の理解と納得を得る姿勢そのものが、
これからの医療ではより重要になっていくのです。
インフォームドコンセントは、訴訟対策という意味だけでなく、
患者と医療者が信頼関係を築くための最低限のルールでもあるのです。
むしろ、
「この病院はインフォームドコンセントがしっかりしている」
ということが評価の対象になるくらい、一般の方にも浸透する時代がもうすでにそこまで来ているのだと私は思っています。
まとめ
インフォームドコンセントとは、
「説明」と「同意」
によって、患者と医療者が一緒に治療を考えるための仕組みです。
しかし現場では、
- 時間不足
- 制度上の問題
- 昔の医療文化
などが影響し、十分に機能していない場面も少なくありません。
だからこそ、
患者側も「理解しようとする姿勢」を持つことが大切です。
- 分からなければ質問していい。
- 納得できなければ断っていい。
- どうしても合わないなら病院を変えてもいい。
大切なのは、
「自分の身体を、自分で守る」という意識です。
これからの医療は、
「医療者が決める医療」から、「患者と一緒に考える医療」
へ変わっていくと思います。
そしてその中心にあるのが、
インフォームドコンセントです。
治療は“受けさせられるもの”ではありません。
医療に振り回されるのではなく、
自分で理解し、選べる人が増えてほしい。
私はそう思っています。

